逆立ち日記#11

身体があまりにも軽いので、

終業後、帰路の道程のうち

およそ20m足らずの距離を

全力で駆けてみた。


この身体に走るという動作を

命じたのは何年振りのことだろうか。

当然ながら学生時代の様な

洗練された肉体操作は叶わない。


酒に使う筈のお金が行き場を無くしている。

そのことを口実にして、

明日は親を食事に誘ってみよう。


走り終えた僕は、

乱れた呼吸を整え、

夕刻を過ぎてもなお

青く輝く空に向かって、

大きく息を吐き出した。