音楽編集と私 その4

以下より謎の横文字が続出する。

一つひとつ説明をするとキリがないので、

理解できない用語については

適当に読み飛ばしていただきたい。


DTM、特にEDM界隈では、

主にサンプル素材を駆使して

音楽を制作している。


サンプル素材とは、

誰かが録音・編集した

ドラムやベースなどの

個体音源のことである。

通常は、

① ドラムなどを個別にマイク録音

② 録音素材を加工編集(ミックス)

③加工素材を統合・調整(マスタリング)

の手順で楽曲完成に至る。

サンプル素材は、

録音素材を①②まで磨き上げたものであり、

基本的には有料購入することになる。


勿論、無料版のサンプル素材もあるが、

ロイヤリティの関係で

私的利用を認められているものの、

商用利用のできないものが多い。

ただし、

企業商品の宣伝戦略の一環として、

黒金(ブラックフライデー)あたりに

気まぐれで無料配布されることもある。


僕はサンプル素材の使用を拒絶してきた。

何故ならそれは、

得体も知れぬ誰かが作成した素材。

それをオリジナル音源に

利用することに

えも言えぬ抵抗感があったのだ。

俯瞰して翻ってみると、

当時の僕の制作者としての

安いプライドが邪魔をしていたのだろう。


だからと言って、

こだわりの機材を使用して

オーディオ録音をするでもなく、

秒針が時を刻むように淡々と、

無料プラグインを加工して

トラックを作成する状況が続いた。


転機は不意に訪れる。

ネットサーフィンを通して、

ロイヤリティフリーのサンプル素材を

偶然発見できたので、

お遊びでEDMの曲を作ってみた。

更には何事にも熱中してしまう

僕の悪癖により、

その魔手がオリジナル音源へと伸び、

試しにいくつかのオリジナル音源に

サンプル素材を貼ってみた。

僕の率直な感想は、

"意外と良いな"だった。


僕にとって何よりの利点は、

トラックの磨き上げに注力する時間を、

大幅に削減できたことだ。


食わず嫌いをすると

自分の選択肢を狭めてしまう。

よもやサンプル素材を通して

人生哲学を学ぶことになろうとは、

四十路を迎えた僕は

夢想だにしていなかった。



(次回予告)

不摂生の極地により

次第に蝕まれる四十路の身体。

そして僕は遂にある宣言を発出した。

次回、最終回

"高血圧と厄年と私"

お楽しみに。



BGM:ペトロールズ『表現』

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    つち (火曜日, 05 1月 2021 21:43)

    遂に、音源編集の最終局地へ!と思いきや、忍び寄る影!きゃー!!!