音楽編集と私 その3

音楽制作を効率化させる道具、

人はそれをプラグインと呼ぶ。

詳細な説明は割愛するが、

この類の話に免疫のない方は、

プラグインとは、

音楽編集ソフトの機能を拡張する

便利品だと考えて差し支えない。


プラグインは、

① 有料版プラグイン

② 無料版プラグイン

2種存在し、つい最近まで僕は、

①の機能制限版(試供品)、

或いは何処かの物好きが作成した、

ネット上に落ちているを拾い集め

音楽編集をしていた。

ちなみに、1stアルバムは、

のみで完成させた。


の差異は、

第一に音質、第二に作業効率性。

それでも、

師を持たない僕は、

正規のルートにない道程を開拓し、

の機能を複合して

擬似的にの機能を再現していた。

(当然ながら効率性は度外視される)


有料プラグインの購入にあたり、

僕の中で葛藤はあった。

"バンド費を遣ってよいものか"

"ちゃんと使いこなせるかしら"

"使い慣れたものを捨てたくない"

そんな由無し事を考えている最中、

僕はふと歴史に想いを馳せる。

文明開化の到来とともに、

日本刀を手放し合理主義者と成った者、

それでも武士の魂を捨てられなかった者、

僕は間違いなく後者だった。

今となっては、

何を悩んでいたのか

全く理解できないが、

最終的に、

音楽編集技術が停滞している

今が変革の時と見定め、

僕は愛刀をそっと地に置いた。


購入までに自主勉強期間を設け、

ネットで公開されている

操作説明書を熟読し、

あわせてYouTubeの解説動画などを

貪るように試聴した。

そして、念願のプラグインが

僕の手に渡る頃には、

操作方法をほぼマスターしていた。


僕が獲得したプラグインは、

ozone9&neutron3だ。

(その後自腹でnectar3を購入)

少し奮発してもらったが、

かなり上等なプラグインだった。


驚愕したのは、

無料プラグインを

複数組み合わせるなどして

手間をかけていた作業が、

ボタンひとつで解決したこと。

また、従来とは比較にならないほど

音質がクリアで、

"こんな機能あったらいいな"

と夢想していた機能が実装されていた。


新しい武力を手に入れた僕が

再び実験の嵐に身を投じたことは

言うに及ばないだろう。



(次回予告)

かの有名な哲学者の文献に

"アウフヘーベン(止揚)"という

言葉が記されている。

歪に研ぎ澄まされた僕のプライドは、

サンプル素材の使用を拒絶するも、

時代の潮流がそれを許さず、

僕はそのアンチテーゼ()

甘受することになる。

次回

"サンプルパックとサンプラー"

お楽しみに。



BGM:ニガミ17才『幽霊であるし』

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コメント: 1
  • #1

    つち (日曜日, 03 1月 2021 23:16)

    最近のブログの更新ぷり、嬉しいね!お正月スペシャル!しかも、編集に関わる専門的な話なので、そっち系の人からの編曲依頼の仕事などあると面白いね♩