もう戻ることは出来ない

外の空気は冷たく、

僕はいつもより一枚余分に

上着を羽織っていた。

肌を斬るような夜風を躱しながら

這々の体で帰宅すると、

出勤前の朝に干した洗濯物が、

まだ少し湿気を含んだまま

ハンガーにぶら下がっていた。

(今年の夏はもう終わったのだ)

立冬を迎えたにも関わらず、

何故だか僕はそう思った。


そして日がどっぷり暮れて、

夜のベールがこの街を包む頃、

僕はいつもの通り、

晩酌を開始していた。


この前観た(ジョーカー)という

映画の余韻に浸りながら、

また映画館へ行きたいな、

と考えているうちに、

誰にも気付かれることなく

僕は眠りに落ちていた。


夢の途中で目を醒ます。

夢の中では僕はまだ学生だった。

続きが気になったが、

もう戻ることは出来ない。


テーブルの上では、

ぬるくなった缶ビールが

僕の一部始終を眺めていた。


振り返るな。

人は前に進むのだ。

たとえ過去に

やり残したことがあったとしても。



BGMBUMP OF CHICKEN『記念撮影』

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コメント: 2
  • #1

    つち (土曜日, 09 11月 2019 09:01)

    ブログ更新、待ってましたー!意味ありげな終わり方!学生時代に何をやり直したかったかが気になるが、僕らは前に進もう。命は有限。過去の反省は大切だが、過去の後悔やタラレバは未来に持っていけない。僕らは進もう。

  • #2

    ひろ (土曜日, 09 11月 2019 09:32)

    どんな夢やったか気になるー!てか、小説のようやね♪