腰痛が台風と共に消え去り、
僕は飲酒を解禁した。
数週の強いられた静養により、
地道に築き上げてきた僕の腹筋は、
適度な脂肪を纏い、
年齢相応の腹部へと変容を遂げていた。
僕は再び身体を絞らなければならない。
少し前に、
職場の後輩と飲みに行った時、
好きな漫画と小説の話をしたことを
律儀に覚えていてくれていたのか、
彼は数作の漫画本を僕に貸してくれた。
そのお返しに、僕は村上春樹と
三島由紀夫の小説を彼に貸した。
それらを手渡す際に、
僕が思い出していたのは、
結婚とともに処分した
大量のCD及び文庫本の行方と、
仕事用の鞄の中で
読みかけのまま眠っている
カート・ヴォネガットの小説のことだった。
処分した理由は何だったのだろう?
今、僕の記憶にないということは、
きっとその程度のことだったに違いない。
BGM:Princess Princess『世界でいちばん熱い夏』
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