平成30年11月16日 報告書

これは故郷を持たぬ民『アルコール・ジプシー』への

史上2回目となる潜入調査の記録である。


今宵の彼らは洒落た肉バル店に陣を張っていた。

彼らはやはり生ビールを好むようだ。


今回新たに確認できたことは、

彼らは注文に対するドリンク提供の

対応の早さを求めるということだ。

グラスは常に何かのアルコールで

満たされていなければならない。

彼らは空グラスの存在を許さないのだ。


運の悪いことに、

今回の店員はドリンクの提供が遅かった。

アルコールがテーブル上に存在しないほんの数分、

店内にえも言えぬ緊張が走ったが、

彼らの答えは

『食べ物が美味いので仕方ない』だった。

彼らは意外にも

人道的な側面を持ち合わせていたのだ。


その後、彼らは次なる土地を求め旅立ち、

コンビニエンス・ストアに陣を張った。

ところが、

店内に足を踏み入れた次の瞬間、

僕は自宅にいた。

記憶を奪われたのだ。


僕の記憶は何処へ流れていったのだろうか?

僕の記憶はきっと、

漆黒の闇が広がる何処かの部屋の奥の方に、

誰にも知られることなく存在し続けているのだろう。

そのことはアルコール・ジプシーしか知らない。


最後に、わずかに残った記憶をかき集めて以下に整理する。

・冷凍ブルーベリーを食べる集団

・『これ美味い』の連呼

・電車と時刻表

・自分は兄だと名乗る謎の男

・笑顔、そして笑顔



BGM:Radiohead『Karma Police』

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コメント: 3
  • #1

    つち (土曜日, 17 11月 2018 13:50)

    まさかの第2弾(笑)
    彼らは、アルコールの提供が遅いことに気づくと、飲み終わる5分前に注文するという手段に出た。運悪く、そういう時に限って早く注文が通るのだが、そういった場面でも、彼らは一気にアルコールを流し込む技をも持ち合わせていた。

  • #2

    ひろ (土曜日, 17 11月 2018 14:43)

    お兄ちゃん!盃を交わそうぞ

  • #3

    中村 (土曜日, 17 11月 2018 16:46)

    セクハラ、パワハラ、モラハラに次ぐブラハラ(ブラザー・ハラスメント)の創設求む!
    誰か僕のこの両手に鋼鉄の手錠をかけてくれよ!